
日本のワイン造りにおいて重要な存在とされているのが、「マスカットベリーA」と呼ばれる品種です。同品種は、主に赤ワインやロゼワインに使用される黒ブドウ品種であり、スパークリングワインの原料としても使用されています。
今後、日本ワインを楽しむのであれば、マスカットベリーAは必ず押さえておくべきブドウです。
本記事では、マスカットベリーAの基本情報や特徴、料理との合わせ方について解説していきます。
マスカットベリーAの基本情報

マスカットベリーAの基本情報を、下記の内容にまとめました。
・マスカットベリーAとは?
・マスカットベリーAは日本のブドウ?
・主な産地
それぞれ解説していきましょう。
マスカットベリーAとは?
マスカットベリーAとは、日本で栽培されている黒ブドウ品種のひとつです。
日本で造られている赤ワインの多くがこのマスカットベリーAで仕込まれているため、「日本を代表するする、赤ワイン用のブドウ品種のひとつ」といっても過言ではないでしょう。
ちなみに、同品種はワインの原料としても使用されていますが、生食用(私たちが、普段フルーツとして食べているブドウ)としても流通しています。
そのため、青果店やスーパーマーケットなどのフルーツ売場で、マスカットベリーAを見かけたことがあるといった方も多いかもしれません。
ワイン用と生食用では若干栽培スタイルや収穫期に違いはあるものの、“飲んでも食べて
も美味しいブドウ”といった意味では、大変ユニークなブドウと考えることができるでしょう。
マスカットベリーAは日本のブドウ?
マスカットベリーAは、日本で生まれたブドウ品種です。
同品種は、新潟県に位置する「岩の原葡萄園」の創業者である、川上善兵衛という人物によって1927年に生み出されました。同氏は1900年代の前半に活躍した人物で、日本の気候に合うブドウを生み出すために交雑・交配品種(別々のブドウ品種をかけ合わせること)を多く作り出したことで知られています。
マスカットベリーAは、その中のひとつで、ベーリー種(アメリカ系ブドウ)とマスカットハンブルグ(ヨーロッパ系ブドウ)をかけ合わせて誕生したブドウです。上記でお伝えしているように誕生は1927年ですが、結実したのは1931年で、正式にブドウ品種として発表されたのは1940年になります。
マスカットベリーAは、日本に根付くブドウを生み出したいという、川上善兵衛の想いが詰め込まれた日本人にとっても重要なブドウ品種なのではないでしょうか。
主な産地
マスカットベリーAは、日本国内の幅広い産地で栽培されています。
多雨多湿な日本の風土に適していることから、産地が限定されていないところも覚えておきたいポイントです。ただし、産地としては「山梨県」が圧倒的な数量を誇ります。
ほか、山形県、長野県、新潟県、広島県などでも多く見られますが、日本ワインを代表する産地である山梨県が頭ひとつ抜けている状況です。
もちろん、産地それぞれに個性のある味わいのワインが生み出されています。産地別で、マスカットベリーAを飲み比べしても楽しいのではないでしょうか。
マスカットベリーAの特徴

マスカットベリーAの特徴を下記の内容にまとめました。
・味わいの特徴
・さまざまなスタイルのワインがある
それぞれ説明していきます。
<h3>味わいの特徴</h3>
マスカットベリーAは、「見た目・香り・味わい」_ともに特徴的なワインを生み出すブドウ品種です。見た目は、淡いものから中程度のルビー色であり、やや濃いものもありますが、全体的にやや透明度が高い赤ワインを生み出します。
さくらんぼやイチゴなど、“赤いベリー”と表現される香りが特徴的で、綿菓子やキャンディのような甘い香りも感じることができるでしょう。また、植物を思わせる香りも楽しむことができます。
全体的に口当たりは、やや軽快。ワインを口に含むと、果実の香りと爽やかな酸味を感じることができます。
また、マスカットベリーAの魅力は、渋み(タンニン)が少ないところでしょう。赤ワインを飲んだ時に感じる渋みもワインの美味しさではありますが、中には少し苦手という方も少なくありません。
もちろん渋みがしっかりと感じられるマスカットベリーAもありますが、全体的には
渋みが穏やかなので、赤ワインを飲み馴れていない方でも気軽に楽しむことができるのではないでしょうか。
さまざまなスタイルのワインがある
マスカットベリーAは、画一的ではない、さまざまなスタイルのワインを生み出すことができるブドウ品種です。
新酒のようにフレッシュで軽快なタイプもあれば、数年の樽熟成を経たボリューム感のあるもの、スパークリングワインなどにも対応します。
また、キャンディのような香りを強調したスタイルもあれば、あえてそれらを抑えて複雑性のある香りにするスタイルなど、生産者の目指す方向性によって、多種多様な味わいを楽しむことができるでしょう。
ひとつのマスカットベリーAだけではなく、いろいろなスタイルのワインを試してみてください。
マスカットベリーAと料理との合わせ方

ワインと料理を合わせることを、「ワインペアリング」といいます。マスカットベリーAの魅力は、幅広い料理とペアリングを楽しむことができるところにあります。
中でもワイン自体が甘い風味を持っているため、和食でよく利用される「甘ダレ」との相性が抜群です。
照り焼きチキンや焼鳥、またみりんと醤油などを使うすき焼きとの相性も良いでしょうほか、樽熟成させたワインであれば、スモーキーな風味もあるため、炭火系の焼鳥のタレはより合わせやすくなります。
ちなみに、鰹やマグロ、赤酢を使った酢飯とも合わせやすいため、「魚と赤ワイン」といったペアリングも楽しむことが可能です。もちろん、ローストビーフや赤身肉のステーキ、フルーツのサラダなど、洋風の食事とも合わせやすく使い勝手抜群。
マスカットベリーAは、日常からハレの日まで、広く使うことができるワインではないでしょうか。
まとめ

日本の赤ワインを代表する黒ブドウ品種のひとつが、マスカットベリーAです。
世界のワイン産地では見ることができない、日本らしい赤ワインを生み出す魅力的な品種といえるでしょう。
マスカットベリーAに興味を持たれた方は、ぜひ一度いろいろなスタイルのワインを試してみてください。きっと、さらにマスカットベリーAのことが好きになるはずです。